「情報のパラドックス」という問題をめぐって、理論物理学者のレオナルド・サスキンドはスティーヴン・ホーキングと20年以上にわたって論争を続けた。本書はその理論的対決の物語。サスキンドは理論的な対決の物語を遊び心たっぷりの読み物に仕上げた。サスキンドは「エネルギーとは何か」「物理学でいう情報とは何か」「情報の保存とは何か」「エントロピーとは何か」といったもっとも基本的なことからていねいに説明しているので、本書を読むのに特別な知識はまったく必要ない。本書の隠れた主題は、物理の面白さを伝えることにある。本書は物理学への賛歌であり、物理の考え方の本当の面白さを心ゆくまで堪能できる一冊。
「心理学が教える人生のヒント」(日経BP社)が刊行されました。
アメリカという国について、私たち日本人に十分理解できないことのひとつが人種にまつわる問題です。
公平で、自由な国と思われているアメリカでも、黒人に対する思い込みが今でも裁判の結果などに重大な影響を及ぼしている事例が紹介されています。
裏を返すと、そのアメリカで黒人であるバラク・オバマ氏が大統領に選出されたのは、その好ましくない力 に打ち勝った、画期的な出来事だったのです。
本書は190件近い心理学の実験や理論を基に、私たちが知らないうちに影響を受けている心理的な力について解説した読み物です。
アメリカの一人の女性教師が「目の色」で人を差別することを体験させた小学校での実験や、ゆらゆら揺れる吊り橋の上で人が恐怖と恋愛感情を混同する、といった有名な事例も紹介されています。
驚いたことに、思い込みに誘導されることで、人は「見ていないもの」を見た、と思い込んでしまうことすらあるというのです。
色がこれほど大きな影響力を持っていることも、一般にはあまり知られていないでしょう。
会社のWebサイトの背景色を決める時、大切なデートに行く時、「勝負色」が物を言うようです。
著者のオルター氏は、そんな力が存在することを知れば、人生のさまざまな場面でより的確な判断ができるだけではなく、子供たちが好ましくない偏見を身に着けるのを防ぐことができると主張しています。
日本人の特徴である集団主義についての興味深い考察も述べられています。
ぜひ、一度お手に取ってみてください。
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「ニンテンドー・イン・アメリカ: 世界を制した驚異の創造力」(早川書房)が刊行されました。
ゲームには人を捕えて離さない不思議な魅力があります。だからこそ、ビジネスとしても大きく成長しているのだと思います。
スーパーマリオやゼルダに熱中したことのある方、自分はあまりプレイしたことがなくても、子供たちや若者がなぜあんなに夢中になるのだろうと不思議に思っている方、ビジネスとしての大きさに関心のある方。いろいろな方にいろいろな読み方をしていただける本だと思います。
この本は、このマリオ誕生から始まる宮本氏の数々のゲームへの取り組みの歴史でもあります。
先日、マリオの生みの親である宮本茂氏は、今の立場を離れて、もっと規模の小さいプロジェクトに取り組むと発表しました(報道記事はこちら)。
この本はまた、典型的な日本のオーナー企業が、カリスマ的な経営者のもと、米国の熾烈なゲームビジネス戦争を勝ち抜いてきた歴史の本でもあります。
これから任天堂は、マリオは、宮本氏はどこへ向かっていくのでしょうか?
冷酷なビジネスと無私無欲な技術者、デザイナーたちの熱い思い・・
並走する対照的な二つの物語をお楽しみいただければと思います。